Group 2B 食品添加物 食生活

食品添加物【人工甘味料編】

今回は日本人のほとんどの方が毎日摂取しているしょう油・味噌等の調味料、菓子類、清涼飲料水、等に添加されている人工甘味料について考察してみました。

添加物としての人工甘味料といっても、自然成分由来の安全なものもあり、すべての人工甘味料を危険視し摂取を控える必要はありません。このブログ記事を通じて、どの甘味料は安全で、どの甘味料は気を付けたほうが良いのか、に関する常識をぜひアップデートしてみてください。

ラミー

人工甘味料ってなーに?

まず初めに主要な人工甘味料にはどんなものがあり、どのような食品に含まれているか調べてみました。

人工甘味料

  • アスパルテーム(低カロリー飲料・食品、加工食品、ガム、歯磨き等)
  • ネオテーム(乳製品、菓子類)
  • キシリトール(ガム)
  • アセスルファムK(低カロリー飲料・食品、菓子類、麵つゆ等)
  • スクラロース(低カロリー飲料・食品、菓子類、アルコール飲料等)
  • ステビア(低カロリー飲料・食品等)
  • サッカリン(歯磨き粉、醤油、ガム等)
  • エリスリトール(ガムや飴等)
  • 羅漢果(ラカンカ)

(参考)トレハロース(菓子類、水産加工品、畜産加工品等)

なお、トレハロースは人工甘味料ではありませんが、甘味料としての添加物として含まれていることが多いため、参考として含めています。

次に人工甘味料ごとに考察してみたいと思います。人工甘味料ごとに本来はメリット及びデメリットがあるのですが、考察対象が多いため、今回はデメリット(健康への影響が大きいもの)を中心にコメントしております。

アスパルテーム

内閣府の食品安全関係情報システムにて、2023年7月の国際がん研究機関(IARC)の報告結果が公表されており、以下の通りです。(一部抜粋)

IARCがグループ2Bと評価した理由(一部抜粋)

IARCは、3つの要件の全てにおいて限界があるとしつつ、以下の理由から、4グループのうち、2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)と分類しました。

IARCの評価概要

JECFAは、アスパルテームについて、IARCが評価の対象とした試験動物やヒトのデータも含めて評価した結果、以下に示す理由から、1981年の評価の際に設定した許容一日摂取量(ADI):0-40 mg/kg 体重/日を変更する理由はなく、このADIが適切であることを確認しました。

  • アスパルテーム摂取が、発がんやそれ以外の影響を含め、ヒトに有害な影響を与えるという確たる証拠はなかったこと
  • アスパルテームは、摂取後に消化管内で分解され、一般的な食品を摂取した後に吸収される代謝物と同じ物質(フェニルアラニン、アスパラギン酸、メタノール)となり、アスパルテームがそのまま全身循環に入ることはないこと

また、世界各国におけるアスパルテームの一日当たりの経口摂取量を推定したところ、摂取量はADIより低かったことから、アスパルテームの摂取により健康への悪影響が生じる懸念はないと述べています。

アスパルテームに関するQ&A | 食品安全委員会 - 食の安全、を科学する (fsc.go.jp)

アスパルテームはIARCが正式にグループ2Bとして発がん性の可能性を指摘していることから、発がん性が指摘されていない食品よりも明らかに注意を払うべきと考えております。また、平均的な摂取量や多食者の摂取量がADIの範囲内のため、ヒトへの有害な影響を与える確固たる証拠はないとのこととなっておりますが、人工甘味料(アスパルテk)が含まれた食品を嗜好する層においては、ADIを超過する可能性も有り、その場合には必ずしもIARCの結論づけが当てはまるとは限らないと感じました。

加え、アスパルテームがそのまま全身循環に入らないから問題ないとされておりますが、アスパルテームが分解されたことで生成される”メタノール”には毒性があり失明や腎不全(まれに死亡)を引き起こすことがある点、また、”フェニルアラニン”はフェニルケトン尿症の患者はフェニルアラトンを分解することができず体内に蓄積続ける可能性がある点、からアスパルテームの摂取は可能な限り控えたほうが良いと考えられます。

キーア

アスパルテームを含むガム等の摂取量には注意が必要ね

chewing gum, sweetness, dental care

ネオテーム

内閣府の食品安全関係情報システムにて、2007年11月の欧州食品安全機関(EFSA)のネオテームに関する意見書による報告結果が公表されており、以下の通りです。(一部抜粋)

健康なヒトや糖尿病患者に最大1.5 mg/kg体重/日のネオテームを投与したが、いずれも悪影響は確認されなかった。食品中のネオテームが分解されることで生成するメタノールは微量であり、安全性の観点から問題になることはない。また、ネオテームと亜硝酸塩が反応することにより胃腸管内でニトロソアミンの形成が想定されるが、実験からニトロソ化合物は検出されなかった。


上記のデータから、人工甘味料や調味料として使用する限り、ネオテームには安全性の観点から問題はないという結論が導かれた。また、上記のNOAELからADIを0~2 mg/kg体重/日と設定したが、大人と子供の食品経由でのネオテームへの暴露量を控えめに推測した場合、ADIを超過しないと推測される。

食品安全関係情報詳細 (fsc.go.jp)

ネオテームはアスパルテームに改良を加えられた人工甘味料であり、基本的にはアスパルテームと同様の副作用があるように予測されましたが、研究報告では、アスパルテームで生じる副作用はなく、人工甘味料や調味料との使用する限りにおいては、健康への影響は限定的とされておりました。

この研究結果からネオテームはアスパルテームの改良版でありアルパルテームの危険性を排除した素晴らしい人工甘味料と捉える人もいるのかもしれません。一方、ネオテームは比較的新しい添加物であることから、研究結果は通常継続的に実施されることが多くその継続検査においても同じような安全性が示されるのかに関しては不透明な部分があり、完全に信頼してよいのか迷う方もいらっしゃると思います。

筆者としては、ネオトームが分解されることで生成するメタノールが微量であっても発生することは事実であり、その毒性についてはアスパルテームと同じであり、摂取量次第では失明等の健康への影響は否定できないことから、ランクはBとしています。

キーア

新しい添加物で研究回数もまだ少ないから念のため食べすぎには注意しないとね

white and blue labeled bottles

キシリトール

厚生労働省の食品化学情報にて1998年5月の公益財団法人日本食品化学研究振興財団の報告結果が公表されており、以下の通りです。(一部抜粋)

キシリトールはショ糖(砂糖)と同程度の甘味度を持つが、ショ糖と異なり血中のグルコース濃度にはほとんど影響を与えないことが示されている。また、水に極めて溶けやすく、120℃でもカラメル化せず、通常の加工条件下においても化学的、物理的に安定であり、キシリトールを使用した食品はショ糖を使用した食品に比べ水分活性が低いことが示されている。

高濃度のキシリトール投与により、栄養障害を起こしたこと、シュウ酸及びカルシウムの排泄が増加したことなどによるものと考えられる。

発がん性は認められない。なお、20%投与群のキシリトール摂取量は17.0g/kg体重/日である。

なお、単回投与試験における毒性も極めて低い。

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 (ffcr.or.jp)

キシリトールは比較的昔から使用されている天然素材の添加物であり、基本的に毒性はなく、当然発がん性もない、おすすめの人工甘味料の一つとなります。甘み程度は砂糖と同程度となります。トレハロースも砂糖の半分程度の甘さと言われております。一般的な危険度の指標として甘さ度合いが高いものほど危険リスクも高いという傾向にあり、甘み程度が低いキシリトールやトレハロースは健康への影響は限定的の安全な甘味料という理解で問題なさそうです。

気を付けたほうがが良い点があるとすれば、キシリトールを含有する食品(ガム等の菓子類)を大量摂取することにより下痢が引き起こされる可能性があることとなります。こちらの副作用については筆者自身も経験があり、キシリトール入りのガムのボトルを仕事中にストレス解消という大義名分のもと大量に食べた結果、お腹の調子を壊すということがありましたので注意ください。

キーア

キシリトールについては天然素材だし研究結果からも心配なさそうね。食べ過ぎは個人責任ね

jam, orange, lime

アセスルファムカリウム(アセスルファムK)

厚生労働省の食品化学情報にて2000年1月の公益財団法人日本食品化学研究振興財団の報告結果が公表されており、以下の通りです。

雌雄ラットにアセスルファムカリウム(アセスルファムK)を短回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、5,000mg/Kg体重以上の用量において投与24時間以内に死亡例が認められた。

ラットにアセスルファムKを0.3%、1%、3%の用量で交配時より混餌投与した親動物から得られた子動物に2年間混餌投与した試験においては、毒性学的意義は乏しいものと判断された。発がん性は認められない。

アセスルファムKをイヌに2年間混餌投与した試験(1977年)では、無毒性量は最高用量の3%(900mg/kg体重/日)であったが、その後実施されたラットの2年間の試験(1979年)では、子宮内曝露も含めて実験が行われ、種の生涯曝露をより反映しており、且つ実験に供した動物数も多く、より厳密な評価が可能と判断できることから、上記のラットの試験をADI(一日摂取許容量:毎日一生涯食べ続けても健康に悪影響がないと考えられる量)の設定に用いることが従って適切である。

ADI:15mg/Kg体重/日、無毒性量:1,500mg/Kg体重/日

公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 (ffcr.or.jp)

アセスルファムKについて短期間に大量摂取をする場合の毒性についてはラットの試験結果から明らかになっているものの、定められたADIの用量の範囲内で摂取する限りにおいては健康への影響(特にがん等命に影響を与えるもの)は限定的のようである。また、無毒性量が1,500mg/Kg体重/日となっており、単発としてADIの100倍程度を一度に摂取するようなことがなければ安全という評価結果となっていました。

コンビニやスーパー等でカロリーオフ飲料やスイーツを購入する際に成分表を確認すると、甘味料としてスクラロースやアセスルファムKが入っていることが多いです。アセスルファムKの甘味度合いは砂糖の250倍となり、結果として砂糖と同じ甘さを出すのに1/250の量となるため、健康への影響も少量で済む形となります。従い、1日1本あるいは1個等、常識的な範囲内での摂取をしている限りにおいては、そこまで気にすることはなさそうです。

キーア

ADIを超過する摂取は悪影響があるということだから、食べすぎには注意しないとね

green and white labeled pack

スクラロース

内閣府の食品安全関係情報システムにて、2019年4月の欧州食品安全機関(EFSA)のスクラロースに関する意見書による報告結果が公表されており、以下の通りです。(一部抜粋)

入手可能なデータからは、スクラロース及びスクラロースを含む食品(特に缶詰の野菜又は焼成品など)が加熱された場合に有害物質(一部は発がん性が考えられる)が生成される可能性があることが示された。

スクラロースは120℃を超えて加熱され続けると、温度上昇に伴い分解され、脱塩素化が起こる。120℃~150℃は、食品の工業的製造や加工工程で達する温度だが、スクラロースを含む食品を家庭で加熱調理したり焼いたりする場合でも達し得る。その場合、健康にとって有害となり得る有機塩素化合物(ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン類(PCDD)、ジベンゾフラン類(PCDF)及びクロロプロパノール類)の生成に繋がると考えられる。

食品安全関係情報詳細 (fsc.go.jp)

スクラロースもアセスルファムK同様、多くのカロリーオフ食品に含まれていますが、アセスルファムK同様、IARCの発がん性判定は受けておりません。ただし、上記研究結果においては、スクラロースが含まれる食品(特に缶詰の野菜や焼成品)を高温状態(120℃超)で加熱された場合、有害物質(一部は発がん性物質)が生成される可能性があることが示されたとことは衝撃的でした。最終結論を出すためにはデータが不十分とのことでしたが、気になる情報でした。

コンビニやスーパー等でカロリーオフ飲料やスイーツを購入する際に成分表を確認すると、甘味料としてスクラロースやアセスルファムKが入っていることが多いです。こちらの2つの人工甘味料は甘味度合いが強く添加されている量が少量であると推察されるため、1日1本あるいは1個等、常識的な摂取をしている限りにおいては、そこまで気にすることはなさそうです。少なくてもスクラロースについては加熱による毒性が報告されているところなので、加熱処理する場合には調理方法を含め留意したが方がよさそうです。

キーア

今度から料理するときにはスクラロースが含まれていないか注意するわ

orange and red plastic pack

ステビア

厚生労働省の平成30年度の既存添加物の安全性評価に関する調査結果が公表されており、以下の通りです。

ステビア末は、キク科ステビア(Stevia rebaudiana BERTONI) の葉を、粉末としたものである。主甘味成分はステビオール配糖体(ステビオシド及びレバウジオシド)である。。。。

ステビア末には生体にとって問題となる変異原性はないものと考えられた。毒性が懸念される報告はない。

本既存添加物は、現状の使用において、ヒト健康影響に対する安全上の懸念は認められなかったと結論された。

000566525.pdf (mhlw.go.jp)

ステビアも低カロリー食品や飲料に含まれていることが多い人工甘味料の一つだと思います。ステビアは天然由来の人工甘味料であり、直近の調査結果ではステビアに関して健康の安全上の懸念は報告されておりません。ステビアは砂糖の250倍程度の甘味度合いとなっております。一般的には甘味度合いが強いものほど健康へのリスクがある傾向にあるようですが、このステビアについてはその毒性が懸念されるほうこくはないようです。加え、砂糖と同じ甘さを出すのに1/250の量(少量)で済むため、安全性への懸念は限定的といえそうです。

自分で人工甘味料をコントロールすることはできませんが、似たような価格帯・品質の商品であれば、より安全性の高い添加物が使用されている商品を選択することで自分の健康リスクをコントロールすることはできますので、そのような観点で商品を選んでみてはいかがでしょうか?

なお、ステビアが含まれる商品にはエリスリトールが含まれることが多いため、糖尿病等の基礎疾患がある方は成分表示を必ず確認してエリストールが含まれていないか確認が必要となります。

キーア

ステビア自体は安全だと分かったけれど、エリスリトールが含まれていなか気をつけるわ

Fudge Cake With Sugar

サッカリン

食品安全委員会の中に注意深い記載がありましたのでピックアップしてみました。(一部抜粋)

我が国におけるオルト-トルイジンの製造・取扱状況
特徴的な臭気のある無色の液体で、アゾ系及び硫化系染料、有機合成、溶剤等に使用される。有害性については、IARCにおいて、発がん性・グループ1「ヒトに対して発がん性がある」と評価。米国のゴム添加工場での 1749 人を対象としたコホート調査等で膀胱がんを起こす十分な証拠があるとされた。動物実験においても十分な証拠が認められた。その他眼に対する重篤な損傷性、遺伝毒性も認められた。

用途: アゾ系および硫化系染料、有機合成、溶剤、サッカリン

000421870.pdf (mhlw.go.jp)

サッカリンは過去にラットへの動物実験により発がん性が確認されたことから、使用禁止になったことがありましたが、その後のサル等への動物実験により発がん性が示されなかったことから、現在では諸外国でも使用されており、日本においても使用量の制限を設けた上で使用が認められております。

一方、上記の実験結果によるとオルト-トルイジンというIARCにてグループ1と発がん性認定された物質の使用用途としてサッカリンが挙げられておりその影響が明らかになっていない(つまり安全性が確認されていない)ことから、近年の動物実験により使用禁止が解かれた結果を盲目的に信用することが怖い気がしました。

従い、過去発がん性により使用禁止された期間があったこと、及び、IARCの中の最も危険性が高いとするグループ1の認定をしている物質の使用用途となっていること、加え、甘味料は多種多量にあり通常代替可能であることが多いことを鑑み、サッカリンの評価は辛口よりでつけることとしました。

キーア

特に歯磨き粉を買うときにはサッカリンが含まれていないか注意するね

toothpaste, toothbrush, white

エリスリトール

エリスリトール(又はエリトリトール)は化合物及び糖アルコールの一種であり、食品添加物や砂糖の代わりに使用される。トウモロコシを原料に酵素を用いて発酵させて製造する。また、エリスリトールは一部の果物等に含まれており、基本的には安全の高いものと認識されている。

しかしながら、2023年2月、CNNにてエリスリトールの健康リスク関する論文結果が公表された。(記事の一部抜粋)

 砂糖の代替としてステビアなどの甘味料に使われている「エリスリトール」について、血栓や脳卒中、心臓発作や死亡リスク増大との関係を指摘する論文が、27日の科学誌ネイチャー・メディシンに発表された。

論文は米クリーブランドクリニック・ラーナー調査研究所のスタンリー・ヘイゼン氏らのチームが発表。研究の結果、糖尿病など心疾患の危険を伴う基礎疾患がある人は、血中のエリスリトール濃度が高い場合、心臓発作や脳卒中のリスクが2倍になることが分かった。

「エリスリトールの血中濃度の値が上位25%に入る人は、下位25%の人に比べ、心臓発作や脳卒中のリスクが約2倍に増大する」とヘイゼン氏は解説する。。。

「天然」ステビアやモンクフルーツ(ラカンカ)などの製品でも、成分に占める含有量はエリスリトールが最も多いという。

カロリーゼロの甘味料、心臓発作や脳卒中リスク増大と関係 米研究 - CNN.co.jp

とても驚きました。エリスリトールも天然素材の人工甘味料ということもあり、比較的安全な部類の甘味料ではないかと推察しておりました。もちろん、上述してきたアスパルテーム等と比較すれば安全で推奨可能な人工甘味料であることは否定しません。

ただし、天然素材のエリスリトールは糖尿病等の基礎疾患がある方にとっては、心臓発作や脳卒中のリスクを2倍にする影響が生じる点に関しては念頭に置いた方が良さそうです。そもそも人工甘味料は砂糖の代わりに使用されることが多く、まさに糖尿病等の疾患のある方は砂糖の摂取が制限されていると思いますので、少なくてもエリスリトールはその代替としては不適切ということは記憶しておきましょう。加え、ステビヤやラカンカといった比較的安全な食品添加物と一緒に使用されるケースが多いようなので、成分表示はしっかり確認する必要がありそうです。

キーア

糖尿病の親族がいるので、エリスリトールの摂取はしないように伝えておくわ

Four Macaroons

ラカンカ

羅漢果(ラカンカ)の甘味成分は、多くはブドウ糖と果糖と特有の強い甘みを持つ成分としてモグロシドと呼ばれるトリテルペン配糖体であり、モグロシドはヒトがエネルギー源として利用できないことからモグロシドやラカンカ抽出物は甘味料として利用されています。

厚生労働省にて平成20年3月に既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究が公表されており、そのうちラカンカに関する試験結果は以下の通りです。

急性毒性試験
ICR系マウスに、強制経口(2000mg/kg)投与による急性毒性試験を行った。その結果、試験動物に異常もしくは死亡例は観察されず、致死量は雌雄ともに 2000 mg/kg以上であると認められた。

90日間反復投与試験
F344 ラットに、被験物質 0.25、0.5、1.0、2.0%の濃度で飲水に混入し、90日間反復投与試験を行った。その結果、体重減少や死亡などの毒性は全く認められなかった。また主要臓器などに病変は認められず、血清生化学的にも異常所見は認められなかった。

s0924-15q.pdf (mhlw.go.jp)

上記調査結果によるとラカンカに関する健康リスクに関しては特に認められていないようです。一方、モグロシドは他の食品添加物と比べ比較的新しく発見されたものであるため、その安全性の評価がまだ十分ではないとして、使用を見合わせているケースもあるようです。

なお、ラカンカが含まれる商品にはエリスリトールが含まれることが多いため、糖尿病等の基礎疾患がある方は成分表示を必ず確認してエリストールが含まれていないかの確認が必要となります。

ラカンカ+エリスリトール、ステビア+エリスリトールという組み合わせが多いようですが、その二つの商品のいずれかを選ぶ場合、少なくても現時点では、研究結果が多く安全性が担保されているステビアを選択することを推奨いたします。

キーア

ステビアと同様、エリスリトールが一緒に含まれていないか確認するようにするわ

Closeup top view of multicolored bright lollipops assorted together in modern candy shop

トレハロース

トレハロースは和菓子等スイーツの添加物として使用されているイメージがありますが、実は、キノコなど自然界の多くの動植物の中にある糖の一つです。ほんのりとした甘さに加え、餅や団子などが時間の経過とともに硬くなるの抑制する効果が強く、デンプンを使用した食品に使用されています。

生労働省にて平成31年3月に既存添加物の安全性評価に関する調査研究が公表されており、そのうちトレハロースに関する試験結果は以下の通りです。

急性毒性試験/マウス、ラットおよびイヌを用いた経口投与による急性毒性試験が実施されているが、いずれの試験においても死亡例はなく、被験物質に起因する毒性影響もみられかった。

反復投与毒性試験/マウスへの所定の13週間混餌投与、犬への14日間カプセル経口投与の実施をしたところ、毒性影響はみられなかった。。。。

海外評価書における扱い/JECFA では ADI not specified とされている。

結論/日本国内で流通しているものについては、安全性に懸念はないと考えられる。

000566525.pdf (mhlw.go.jp)

トレハロースは抑えた甘みを求める老舗の和菓子に含まれていることが多いですが、全く安全性には懸念はない安全な糖類のため、安心して食べることができます。以前は高級菓子等単価の高い菓子類のみに使用されているイメージがありましたが、最近ではコンビニエンスストア等にて置いてある菓子類等にも甘味料としてトレハロースが使用されていることも増え、筆者も身近なお店でスイーツを選ぶときはトレハロースが使用されているものを優先的に選んでいます。

なお、特にコンビニエンスストア等で菓子類を購入をする際には、トレハロースが含まれていたとしても(おそらくそれだけでは甘みが足りない、或いは、原価が高くなってしまうため)トレハロース以外の人工甘味料も併用されるケースを見ることがありました。従い、成分表を確認するときには、トレハロースを見つけて安心せず、他に使用されている人工甘味料がないか、その安全性は大丈夫か、トレハロースとどちらが含有量が多いか(成分表は含有量が多い順に記載されている)等に関して注意しながら、確認するようにしましょう。

キーア

トレハロースが含まれているお菓子を積極的に買うようにしているので大丈夫

doll's festival, kusa mochi, sakura mochi

以上、上記の考察結果を一覧に纏めたものが以下の通りです。

ほったー

筆者の私見となりますが、人工甘味料にランク付け”評価”をしてみたので参考にしてください

(A:推奨/ぜひ選択してください。B:許容/節度を持ってご使用ください、C:代替可能ならば避けたほうが良い)

人工甘味料評価由来危険性甘味度合い(砂糖比)
アスパルテームC合成IARC (グループ2B)、メタノールの毒性、フェニルケトン尿症の方は摂取NG200倍
ネオテームB合成習慣的かつ大量摂取は健康への影響の可能性あり7,000~13,000倍
キシリトールA天然発がん性無し。ADIの設定もなし。同程度
アセスルファムKB合成ADIの範囲内であれば心配はなさそう。大量摂取は厳禁250倍
スクラロースB/C合成120℃超で調理した場合、有害物質(発がん性物質含む)発生の可能性600~750倍
ステビアA/B天然商品にエリスリトールが含有されていないか要確認200~300倍
サッカリンC合成発がん性物質の用途となっている300~500倍
エリスリトールA/C天然糖尿病等の基礎疾患がある方は要注意0.7倍
ラカンカA/B天然商品にエリスリトールが含有されていないか要確認300~400倍
(参考)トレハロースA天然天然の糖質。優先的に選んでください!0.45倍
甘味料別の危険性やおすすめランク

(参考1)農林水産省/IARCによるヒトへの発がん性評価から抜粋

  • グループ1:発がん性がある
  • グループ2A:おそらく発がん性がある
  • グループ2B:発がん性がある可能性がある
  • グループ3:発がん性については分類できない
国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について:農林水産省 (maff.go.jp)

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